FP5 ファイナンシャルプランニング 家計管理術①

nekosan

ファイナンシャル・プランニング技能士1級(国家資格),情報処理安全確保支援士(国家資格),その他CFP資格,PRM(プランナー・オブ・リスクマネジメント)資格保有 保険会社,法律事務所勤務を経て現在は独立系FPとして稼働

家計の支出をどのように管理するか①

⑴ まずは家計の支出を管理するための家計管理の枠組みを作りましょう

 今回から何回かに分けて,具体的にどのようにして家計管理を行っていくかというお話をしていきます。

 当然のことですが,

 家計の状況はその方やそのご家族ごとそれぞれに違います

から,細かい部分になればなるほど,誰にでも効果があるファイナンシャルプランニングというものはありません。

 例えば,AさんはBさんよりも収入がありますが,その代わりAさんは子供の学費を支出しなければならず結果として可処分所得はBさんより少なくなるといったこともありますし,現時点ではCさんの支出は同じくらいの年収のDさんよりも多いですが,Cさんの支出は工夫により減らせるのに対しDさんの支出は年老いた両親の介護費用であり減らすことができず,結果としてCさんにはファイナンシャルプランニングの効果が出やすくDさんには出ずらいといったようにです。

 したがって,よりきちんと家計の収支の改善を行うのであれば,ファイナンシャルプランナーといった専門家にご相談いただいた方が良いと思います。

 しかし,今回は,そこまで厳密な話ではなくても,誰でもすぐに始められてかつそれがまだできていない方にとっては効果が出やすい家計管理術をお話します。

 それは,

家計管理のための枠組みを作る

ということです。

 具体的には,

  • お金の出口を少なくする
  • お金の入口を少なくする
  • なぜお金を節約したいのか目的をはっきりと意識する

の3点です。

 1つずつ順番にみていきましょう。

⑵ 家計管理の枠組みとしてお金の出口を少なくするために必要なこととは?

この点については,既に大枠はお話ししました(下記リンク参照)。

参考:お金の出口を意識しましょう

 既にお話したように,お金の出口を少なくすることは大事ですが,そのためにはまずやっておく必要のあることがあります。

 それは,

お金の流れの見える化

です。

 例えば,収支のバランスが悪く予想外の支出があるという家計の状態は,いわば大ケガをしているのと同じような状態で,その傷口から血が流れ続けているようなものです。

 当然,それを放置していればどんどん血液であるお金が流れ出してしまって,いつかは死んでしまう,すなわち家計が完全に破綻してしまいますので,早急に傷口をふさいで血液であるお金の流れを止める必要があります。

 しかし,ケガをした場合には,治療を行うよりも前にまずどこをけがしているのかを診察して確かめるのが先であるように,お金についても,出口を少なくするという節約の話に入る前に,まずは

その支出が一体何に使われているのかを確認する

ことが必要です。

 これをせずにいきなりお金を節約しようと思っても,治療の必要がないところを治療してしまう,すなわち,節約の必要のない(節約すべきではない)支出を減らし,本来節約すべき支出を節約できないといったことにもなりかねません。

 そこで,まずは,

自分の今のお金の流れを見えるようにし,自分が何にいくらお金を使っているのかを見えるようにする

という作業を行ってみましょう。

 では,具体的にどのように行えば良いのでしょうか。

⑶ 家計管理のためどのようにお金の流れを見えるようにするか?

 まず,現金での支出の場合,レシートももらえますし,その場でお財布からお金を出して支払うので,特に大きな出費は意識に残りやすいですし,仮に忘れてしまってもレシートを見ればすぐに思い出すこともできます(レシートはとっておく癖をつけてください)。

 問題は,

電子マネーやクレジットカードでの出費

です。

 これらは,お金そのものを目にすることなく決済が行われるため,

ついつい大きな出費をしてしまったり,その出費自体を忘れてしまって引き落とし日に引き落とし額にびっくりして内容を確認する

といった経験が一度はおありではないでしょうか。

 お金の出ていくルートとしては,以下のように大きく2つに分かれます。

  • 現金
  • その他の決済手段

 そして,その他の決済手段としては,

  • 使途がすぐ分かる引き落し(公共料金等通帳に引き落とし先が明示されるもの)
  • 使途がすぐ分からない引き落し(クレジットカード決済等)
  • 電子マネーや決済アプリ

の3つに分かれます(まずはこのような分類で概ねカバーできるはずです)。

 まず,現金については,先ほども触れましたが,

レシートの保存とこまめな記録

が基本です。

 次に,その他の決済手段のうち使途がすぐ分かるものについては,通帳の履歴等を見て現金と同じく記録しておきましょう。

 まとめてやると大変なので,

毎日その日の支出について時間を取って記録するというくせを付ける

ことが大事です。

 一番問題なのが使途がすぐ分からない引き落しです。

 これについては,面倒でも,

クレジットカード等の明細を見て,1つずつの出費を確認する

ということを一度はやってみてください。

 この部分をチェックして何にお金が使われているかを明らかにしない限り,収支の改善は望めません。

 最後の電子マネーや決済アプリですが,これは多くの方がクレジットカードからのチャージを利用していると思われますので(ポイントの二重取りもできますのでおススメです),クレジットカードの引き落としのチェックの時に総額いくらチャージしたかは分るでしょうし,個別の支払いについては現金同様レシートの保存と日々の記録が大事です。

⑷ 家計管理のための出費の記録方法

 では,実際に出費をどのように記録していくかです。

 方法としては,

  • 帳面に記帳する
  • PCを使ってエクセル等に記録する
  • アプリを使う

という3種類の方法があると思います。

 まず,昔ながらの帳面(家計簿やお小遣帳)に直接手で書いて記帳するという方法があります。

 これは一見手間がかかりますが,面倒な分記憶には残りやすいので,

支出を強く意識する

という点では良いかもしれません。

 ただ,当然ながら帳面と筆記具が必要なため,出先に空いた時間でといったことはやりづらいでしょう。

 エクセル等を使うという方法も,使う道具が変わるだけでやることは記帳とさほど変わりませんので,メリット,デメリットはほぼ同じだと思います。

 最後のアプリという方法は,記憶には強く残りづらいという点はありますが,

いつでもどこでも空いた時間にできる

というのが最大のメリットだと思います。

 これまで忙しくて支出の確認がおろそかになっていた方は,まずは手軽に始められるアプリを利用してみるのも良いのではないでしょうか。

 アプリはストアに色々ありますが,下記の「MoneyForwardME」というアプリは,アプリストアでの評価も高く,銀行口座やクレジットカードを連携することで、自動で収支も見える化されるという機能もついています。

 登録は無料でできますので,まずは使ってみるのはいかがでしょうか。

MoneyForwardME

⑸ 今回のまとめ

 以上のとおり,家計の支出を管理していくためには,まずは

家計管理の枠組みを作る

ことが大事です。

 具体的には,

  • お金の出口を少なくする
  • お金の入口を少なくする
  • なぜお金を節約したいのか目的をはっきりと意識する

といった3つのステップがあり,まず今回は

お金の出口を少なくするためのお金の出口の見える化

のお話をしました。

 正直,これは,お金の出口が分からなくなっている方にとっては相当面倒な作業だとは思います。

 しかし,これを避けていては

いつまでたっても収支は改善せず,生活は苦しいまま

だと思います。

 まずは

とりあえず1か月続けてみる

ことを目標にしてみましょう。

 次回は,お金の入口を少なくすることの意味や方法等についてお話する予定です(下記リンク参照)。

参考:家計管理術②

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