FP7 ファイナンシャルプランニング 家計管理術②

nekosan

ファイナンシャル・プランニング技能士1級(国家資格),情報処理安全確保支援士(国家資格),その他CFP資格,PRM(プランナー・オブ・リスクマネジメント)資格保有 保険会社,法律事務所勤務を経て現在は独立系FPとして稼働

家計の支出をどのように管理するか②

⑴ 家計管理の枠組みとしてお金の入口を少なくしてみましょう

  前回,家計の支出を管理するためにはまず

家計管理の枠組みを作る

ことが大事であるというお話をしました。

 そして,家計管理の枠組みを作るとは

  • お金の出口を少なくする
  • お金の入口を少なくする
  • なぜお金を節約したいのかその目的をはっきりする

ことであり,そのうち

お金の出口を少なくする

ために必要な

お金の流れの見える化

とその方法についてお話をしました(下記リンク参照)。

参考:家計管理術①

 今回は,家計管理の枠組みを作るための第2ステップである,

お金の入口を少なくする

ということについてお話をしていきます。

 ここでは,「お金の出口」という言葉に対する意味で「お金の入口」という言葉を使っていますが,より具体的に言えば,

預貯金口座を整理する

ということです。

 以下で詳しくお話します。

⑵ 家計管理の枠組みとしてお金の入口を少なくする(預貯金口座を整理する)ために必要なこととは?

 この点については,経営者の方向けのコラムで一度概要をお話しています(下記リンク参照)。

参考:預貯金口座の管理が大事です

 今回は,この点を,お勤めの方向けにより具体的にお話します。

 まず,預貯金口座を整理するためにまず必要なのは,

自分の預貯金口座をすべて一覧表にしてみる

ということです。

 昔は,「通帳を出してきて並べてみてください」と言いましたが,今は,ネット銀行のみならず店舗を構えている銀行であってもペーパーレス化が進んでいるため,紙の預貯金通帳だけに意識が向いていると,ついこの種の銀行が検討対象から漏れてしまいます。

 ですので,必ず,一度は預貯金通帳のみならず,

預貯金通帳がある銀行以外の銀行のキャッシュカードやアプリがないか

を確認し,一覧表にしてみてください。

⑶ 預貯金口座を整理することは無駄な口座管理手数料の節約にもなります

 私がこういったお話をすると,「自分の預貯金口座を忘れるわけないよ」と笑う方もおられます。

 実際,きちんと預貯金口座を管理されている方であれば笑い事で済むのですが,昔勤めていた会社で作らされた口座だったり,定期の利率アップ等何かのキャンペーンの際に作った口座等は意外に忘れがちです。

 これらの口座も,一昔前であれば単に放っておけば良かったのですが,最近では

口座管理手数料

の問題があるので注意が必要です。

 すなわち,本記事執筆時現在,都市銀行はもちろん地方銀行でも,いつ開設した口座が対象になるのか等に違いはありますが,口座管理手数料の導入を決めている銀行があり,この流れは今後拡大していくものと思われます。

 昔作って忘れているような口座についていきなり口座管理手数料を請求されるのかどうかについては未確定な部分は残りますが,少なくとも,使いもしない口座を残しておいても口座管理手数料の請求を受けるかもしれないというリスクがあるだけで何も良いことはないので,この機に不要な口座については解約してしまった方が良いかもしれません。

⑷ 家計管理の枠組みとしてお金の入口を少なくする具体的な方法とは?

 話が少しそれましたが,とりあえず自分が持っている預貯金口座はすべて分かったものとして話を進めて行きます。

 では,これらをどのように整理していけば良いのでしょうか。

 まずすべきは,これらの口座の中で,

どの口座をメインの口座にするのかを決める

という作業です。

 その候補としては,

給与の振込口座

が一番良いでしょう。

 その上で,

副業を行っている方は,特段の事情のない限り副業による収入の振込先もまとめる

ようにしましょう。

 そうすることで,収入というお金の流れが一つの口座にまとまって分かりやすくなります。

 次に,そのメインの口座を,既に判明している出費のうち

クレジットカードの引き落とし先

として設定しましょう。

 これは,詳細が分かりづらくなっているクレジットカードの引き落とし先を一つにまとめることで,毎月の支出の大まかな額が一目で分かるようにし,結果として無駄な出費を抑えることができるようにするためです。

 また,

水道光熱費や家賃,住宅ローン等毎月絶対に支払わなければ生活できない固定費

についてもこの口座から引き落とされるようにします。

 これにより,一つの口座で,毎月の出費の大部分と絶対に外せない固定費を管理できるようになります。

 もっとも,住宅ローンや家賃については,特定の銀行の口座から引き落とすよう指定がかかっていたり,特定の銀行からの振込であれば不要な手数料がかからないようになっていたりする可能性があり,それが給与の振込口座と異なる可能性もあります。

 その場合は

無理に口座をまとめる必要はない

と思います。

 なぜなら,住宅ローンや家賃は毎月の出費額が決まっているので,それが原因で自分の出費が分からなくなってしまうということはあまり考えられないからです。

 ただ,最低限給与の振込口座とクレジットカードの引き落とし口座はまとめておいた方が分かりやすいと思います。

 また,クレジットカードの引き落としについても,特定の口座からの引き落としによって特典が付く場合もあるので,その場合は給与おn振込口座の方を変更する方が良いかもしれません。

 結局のところ,目指すべきは,

できる限り収入と支出をまとめて分かりやすくする

ことにありますので,口座変更のメリットやデメリットを考えつつ,管理をしやすい状況を作っていきましょう。

 最後に,以上の作業によって使わない口座が出てくる場合もあると思いますので,そういった口座はこの際解約してしまえば作業は終了です。

⑸ 家計管理におけるファイナンシャルプランナーの役割

 以上がお金の入口を少なくする,すなわち預貯金口座を整理することの一般論です。

 ファイナンシャルプランナーは,このような作業を,お客様とご相談しながら進めていきます。

 例えば,どの口座をメイン口座にすれば最もメリットが生まれるかについてアドバイスを差し上げたり,メイン口座の他に複数の口座(貯蓄用,支出用,返済用等)を作成してそれを上手く使ってお金を管理する方法をお伝えしたりします。

 また,今回お話したのは家庭の中でお一人のみに収入があるような場合を想定したプランであり,夫婦共稼ぎでお財布は別といったご家庭であれば別のプランニングが必要となります。

 ご自身での整理に限界を感じられましたらお近くのファイナンシャルプランナーにご相談されても良いと思います。

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